NHKはぶっ壊すべき?受信料のおかしなところ

受信料という仕組みのどこがおかしいのかをはっきりさせて、NHKはぶっ壊すべきなのかを考えました。

 

NHKから国民を守る党(通称、N国)の立花孝志さんが参議院議員に当選してから、色々と物議を醸しています。

番組内でN国に対して批判的なコメントをしたマツコ・デラックスを名指ししてテレビ局の前で抗議活動を行ったり、街頭演説中にヤジを飛ばした一般人に対して私人逮捕と称して執拗に絡んだり…。N国に投票した人の中には自分の選択を後悔している人もいるようです。

N国に投票したが取り消したい。恥ずかしい。ごめんなさい。 - メロンダウト

一方、NHKや受信料制度に対して批判的な声も確かにあって、それがN国が議席を獲得した一因であるのは間違いないと思います。N国はNHK放送のスクランブル化(契約者だけが視聴できるようにすること)を目指して活動しています。

 

受信料という仕組みはなぜこんなにも不満に思われているのでしょうか?

多くの人は「NHKを見るためにテレビを買ったわけじゃないのに、なぜNHKに受信料を払わなければいけないのか」と思っているんだと思います。それに対して、NHKは「NHKは公共放送だからみんなに受信料を払ってもらう必要がある」という趣旨のことを言っています。

……なんかずれてますよね?NHKはお茶を濁したようなことを言っていますが、もっとはっきり言うべきなんです。「テレビを買うということはNHKを見るということなんだ!だから受信料を払え!それが嫌ならテレビは買うな!」と。

 

なぜそんなことを言えないのかと言えば、もちろん本当にテレビを買わなくなって受信料を取れなくなったら元も子もないからです。でも本来は、例え民放がなくなったとしても、NHKだけでテレビを普及させてその受信料でやっていけるくらいの質をNHKは担保しなければいけないはずなんです。それが公共放送を提供するNHKに任されている役割です。

しかし、NHKはそんなことを言えないくらいに弱気になっています。「民放を見るためにテレビを買った視聴者から受信料を掠めとるセコい組織」に見えるのはそういう理由です。

 

受信料徴収の仕方も中途半端です。NHKは「受信機(テレビのこと、ワンセグを含む)を持つ世帯には契約義務がある」と言っています。だったらテレビを買う時点でNHKと契約しなければ買えない仕組みにすればいいんです。英国のBBCはそういう仕組みでやっています。

もしくは受信料を払わなければ、民放を含む放送全てが見れないようにすればいいんです。B-CASカードを抜けばテレビは見れなくなるのだから、技術的には可能です。(放送法第20条第11項に違反するという話もあるようですが。)

今の受信料制度では、地上波デジタル放送なら何でも見れる状態でテレビが売られており、消費者にとってはハードルが低くなっています。しかし、後から訪問員がやってきて「実は受信料払ってもらわなきゃいけないんですよ〜」と言われても「聞いてないよ!」となるのは当然です。しかも、訪問員は足で各世帯を回って受信機の有無を確認するので、かなり非効率です。その結果、支払率(受信料を払うべき世帯に対する実際に払っている世帯の割合)は79.7%と微妙な数字になっています。(英国のBBCは98%前後です。)これでは払っていない人の方が得じゃないかと言われても仕方ありません。

 

では、NHKスクランブル化してしまうべきかというと、私は反対です。なぜなら「公共放送としての役割を果たせなくなる」というNHKの言い分は確かに当たっているからです。公共放送というのは、民放のように視聴率が取れる番組ではなく、公共の福祉に資するような文化的価値のある番組を作ることが求められています。子育て世帯の多くが見る教育番組はもちろんですが、社会問題を提起するようなドキュメンタリーもNHKでなくては作れないものです。問題なのは、そういうありがたみを押し付けがましく主張してきて、「そんなの必要としてない」と言ってる人からも受信料を掻っぱらおうとしているところです。「じゃあテレビ買うなよ」とは言えないのがNHKの残念なところです。

 

インターネット放送の台頭もあり、テレビを持たない世帯も増えています。テレビ離れが進むと、現状の受信料制度が成り立たなくなるのは目に見えています。一方、NHKもネット配信を始めたことで受信料制度を改めるという話があります。ネット配信となると誰が見ているかはもはや追えないので、全世帯から受信料を徴収する可能性もあります。

一見納得しそうですが、これは消費者からしたら絶望的です。なぜなら、テレビの場合は「NHKには見る価値がない」と思えば「テレビを買わない」という選択をすることができました。そうすればNHKと契約する必要はありません。しかし、全世帯徴収となれば、もはやNHKに価値があろうとなかろうと、私たちには何もすることができません。NHKは確実に腐敗し、NHKをぶっ壊すことしかできなくなるのです。だから私はNHKの全世帯徴収には断固反対です。あくまでもテレビに付随するものと位置づけるべきだと思います。

今のセコいやり方を引きずるか、そこから抜け出すか、NHKは岐路に立たされているのです。NHKをぶっ壊す?いやいや、こっちからぶっ壊していってやんよ!」くらいの気持ちで、NHKには新しいテレビのあり方を示していってほしいと思います。